9月11日・9月12日 日本・ポストベンション・カンファレンス+第13回 全国自死遺族フォーラム を開催できました

【SDGs】
(厚生労働省自殺防止対策事業)

日本・ポストベンション・カンファレンス
2020年9月11日/9月12日 開催
日本・ポストベンション・カンファレンス
+第13回 全国自死遺族フォーラム
無事開催する事ができました
多くの方にご参加頂き誠にありがとうございました
今後ともよろしくお願いいたします

日時 2020年9月11日(金曜日)~12日(土曜日)
場所 専修大学(神保町) 新館(140年記念館) 9階・10階
主催 一般社団法人 全国自死遺族連絡会
共催 一般社団法人 自殺予防と自死遺族支援・調査研究センター
自死遺族等権利保護研究会
協賛(順不同)
認定NPO法人 国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止センター
日本司法書士会連合会
公益社団法人 日本社会福祉士会
自死・自殺に向き合う僧侶の会
日本いのちの電話連盟

1)趣意書
 家族や身近な人、大切な人を自死で失った者は、強く、深い悲しみに覆われます。その悲しみは、言葉では言い表すこともできないほど複雑で、時の流れの中では大きな振幅も伴います。
そのうえ、自死に対しては社会的な偏見が根強いことから、多くの遺族はその悲しみを他者に語ることもできず、一人で抱え込みながら生きています。
 そのような中、大切な人を自死という形で失った当事者たちが集まり、その深く複雑な感情をわかちあい、支えあおうと、自助グループは発足しました。今や各地に広がり、それを全国組織としてつなげた当会も発足以来13年がたちました。
 これまで各方面からご意見・ご指導をいただき、ご協力いただいてきたこと、この場を借りて、お礼申し上げます。
こうして積み重ねてきた自助グループの活動からは、遺族支援の各段階・各側面に多様な問題が存在していることが見えてきました。悲しみをわかちあうにとどまらず、総合的な対応に踏み込むことが求められていると感じています。
 また、失われた“いのち”を悼みつつ、なぜ死ななければならなかったのかを探求し、学び、自死の防止を考えていかなければならないという要請も高まっています。その要請に応えるためには、亡き人の”声なき声”ともいうべき思い、死に至るまでの歩みを、最もよく知る遺族や親しかった人が、関係者と協働していくことが不可欠となっています。
 自殺総合対策大綱が認めるように、多くの自死は「追い込まれた末の死」です。
 つまり、遺族の支援も自死の予防も、個人に帰すべきではなく、社会問題なのです。厚生労働省はこうした認識に基づき、自死防止対策に関する民間団体の活動を重要と認めて、自殺防止対策事業として、民間団体の活動支援に取り組んでいます。本カンファレンスもその採択を受けて行われます。
 各分野の専門家と遺族が、かけがえのない命が失われたという事実と遺族の無念という原点を、埋没させることなく語り合い確認しながら、法的支援も含めたポストベンション(事後対応)とプリベンション(自死防止)について考えたい。本カンファレンスは、そうした討議を通して、総合的な自死対策に結び付けることを目的として、開催するものです。
一般社団法人全国自死遺族連絡会

2)
【目的】
 いま、複雑・多様化する社会の中で、かけがえのない多くの“いのち”が自死により失われている。一時より減少したとはいえ、日本は国際的に見ても、自死が高い水準にとどまっている。また今年はコロナ禍で自死に追い込まれる人が増えることが危惧されている。自死が家族や友人、知人、関係者に与える影響は大きい。悲しみの質や深さは、死に至る事情や自死者との関係性によっても異なるが、それぞれが深刻なダメージを受ける。それは言葉では言い尽くすことができない。特に遺族に与える影響は計り知れない。ところが、あらゆることに自己責任を問う昨今の風潮は、自死についても、自死した人自身の失敗や弱さに帰責しようとする。自死遺族に対しても、自死という結果を招いた大きな要因の一つとする偏見や、身内の自死によって未来を失ったかわいそうな人という憐憫が支配的な見方となっていて、誰にも真情を語ることができない状況に追い込まれがちだ。国は自死を個人の問題に還元せず、社会全体の問題として捉え、自殺防止対策を進めている。本カンファレンスも、そのような見地から、厚生労働省自殺防止対策事業の採択を受けた。ポストベンション(事後対応)とプリベンション(自殺予防)について、社会的な文脈を重視した検討・考察を深め、実践につなげていくことを目的とする。
 方法論的には、法律分野をはじめとする各分野の専門家との連携を大切にすること、海外の関係者にも参加を求め、各国との比較検討によって日本の現状に対する認識を深めていくことを中心に据えたい。
 自死という表現はかなり定着してきていますが、公文書等で自殺という表現となっておりますので、この表現について混在していることをご了承下さい。
3)
期 日 2020年9月11日(金)~12日(土)
場 所 専修大学(神保町) 新館・10号館 9階・10階
主 催 一般社団法人 全国自死遺族連絡会
共 催
一般社団法人 自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター

自死遺族等権利保護研究会
協賛
日本司法書士会連合会
公益社団法人 日本社会福祉士会
自死・自殺に向き合う僧侶の会
認定NPO法人 国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止センター
日本いのちの電話連盟


テーマ「喪われた“いのち”から学ぶ」
開催時間:10時~16時40分


【第1日目】9月11日(金)10時~12時30分

開会
全体会
主催者あいさつ
一般社団法人 全国自死遺族連絡会 代表理事 田中 幸子
(2)来賓あいさつ
岡 英範 厚生労働省 大臣官房参事官(自殺対策担当)
基調講
演演題「憲法から見たいじめ自死」
憲法学者 木村 草太 氏
海外事情について
韓国呉恩恵氏
自死遺族の声

****************************
12時30分~13時30分(休憩)
****************************

13時30分~15時00分
第1回分科会
第1分科会会場9階
自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター(CSPSS)

第2分科会会場10階

「行政における自殺対策のこれから~地域精神保健活動との連携を糸口に」

第3分科会会場10階
自死・自殺に向き合う僧侶の会

*****************************

15時10分~16時40分
****************************

第2回分科会

第1分科会会場9階
自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター(CSPSS)

第2分科会会場10階

国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止センター
土曜日の集い・水曜日の集い

第3分科会会場10階

いのちの電話 がひらく「わかちあいの会」


【第2日目】9月12日(土)10時~12時

第3回分科会

第1分科会会場:9階
自死遺族等権利保護研究会(民法学者・弁護士・司法書士
・精神科医・ジャーナリスト・自死遺族)

第2分科会会場:10階

ナインの会(キリスト教信徒だけの自死遺族の会)
(東京・大阪・名古屋・サテライト開催)

第3分科会会場:10階

あんじゅ(自死でわが子を喪った親の自助・他助グループ)

******************

12時~13時30分(休憩)
******************

第13回全国自死遺族フォーラム会場:9階

13時30分~15時30分
第1部
基調講演
演題「自死遺族の悲しみと社会的活動」
上智大学 教授・自助グループ研究者 岡 知史 氏
遺族の声2名

******************

15時30分~15時45分(休憩)
******************

6)

15時45分~16時30分
第2部
セレモニー※メッセージカード配布
・亡き人たちの映像※ライアー生演奏
・亡き人の思い出(遺族朗読1分)20人程度
・メッセージカード奉納
閉会
主催者あいさつ
16時30分終了


9月11日全体会講師ご紹介

木村 草太 氏(きむら そうた、1980年-)

日本の法学者。専門は憲法学。東京都立大学 大学院 法学政治学研究科 法学政治学専攻・法学部教授。
単著[編集]
『平等なき平等条項論――憲法14条1項とequalprotection条項』(東京大学出版会、2008年)
『憲法の急所――権利論を組み立てる』(羽鳥書店、2011年/第2版・2017年)
『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書、2012年)
『憲法の創造力』(NHK出版、2013年)
『テレビが伝えない憲法の話』(PHP新書、2014年)
『司法試験論文過去問LIVE解説講義本――木村草太憲法』(辰巳法律研究所、2014年)
『憲法という希望』講談社現代新書2016
『木村草太の憲法の新手』沖縄タイムス社,2017
『自衛隊と憲法これからの改憲論議のために』(犀の教室LiberalArtsLab)晶文社,2018
『木村草太の憲法の新手2』沖縄タイムス社,2019
監修[編集]
『CD付現代語訳でよむ日本の憲法』(アルク、2015年)
共著[編集]
『憲法学の現代的論点(第2版)』安西文雄,青井未帆,淺野博宣,小島慎司,佐々木弘通,宍戸常寿,林知更,巻美矢紀,南野森共著(有斐閣、2009年)
他多数
海外事情について

韓国の自殺予防対策の過去と現在
呉 恩恵(オ・ウンヘ)
2013年韓国中央自殺予防センターで勤務
2014年早稲田大学人間科学学術院助手
2017年東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科助教
韓国では、民間の団体から自殺予防活動が始まり、2004年には保健福祉部(日本の厚生労働省に当たる)の政府による自殺予防対策が始まった。それでも、自殺率は減少に向かなかった。2011年には、「自殺予防及び生命尊重文化醸成のための法律」(以下、自殺予防法)が制定され、自殺予防対策として主に行われたハイリスク者への取組から国民を対象にした、社会・経済・心理的支援に拡大させた。また、精神健康福祉センターに自殺予防対策事業の担当者またはチームを配置することになり、民間団体の自殺予防活動や研究が広がるようになった。2017年、文在寅政権は、国の重要課題の内「自殺予防及び生命尊重文化の普及」を含め、翌年は、関係府省間が協力しながら「自殺予防国家行動計画(2018〜2022)」を発表した。2019年9月には、国務総理を委員長とする「自殺予防政策委員会」を立ち上げた。
その結果、2011年から2017年までの自殺率は減少傾向が続き、特に60歳以上の自殺率は目立った減少を示した。しかし、2018年の自殺率は26.6名になり、前年と比べて2.3名(9.5%)が増加した。その内、最も増加率が高かった年齢層は10代(5.8名、22.1%増)、40代(31.5名、13.1%増)、30代(27.5名、12.2%増)であった。増加の原因として、有名人の自死の影響も考えられるが、自死は個人、社会、制度などの多様な要因が複合的に影響しているため、多角的な検討と対策が必要である。
韓国の自殺対策は民間活動から始まり、その民間団体らが国へ働きかけ、現在は政府主導の官民協力体制を取り組んでいる。地域では、民間団体による活動が展開されている。最近は、「生命尊重政策の民・官協議会」の事業の一つとして、「宗教系自殺予防指針書」を開発した。韓国の中で代表的な6つの宗教団体に向けて、それぞれが活用できるものである。
政府は、一部の専門機関、団体だけの努力では限界があることを認識している。これからも政府は国民の生活に密に関わる多様な機関・団体・指導者・責任者を発見し、互いの知識・情報を共有しながら協力し合う体制を整えることが重要である。各省間の連携、官と多様な民との協力は、全国民への正しい知識の普及、自殺予防対策への全国民の参加、生命尊重文化の拡散と定着を促すことができると考えられる。


9月11日13時30分~15時00分・15時10分~16時40分
第1回・第2回分科会「第1分科会」会場9階
一般社団法人自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター(CSPSS)

テーマ
「ゆるやかにつながり、学び合う」
一般社団法人自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター(CSPSS)は、自殺対策における学び合いと尊重の風土づくり、透明・公平な自殺対策の発展に寄与することを目的とした話し合いの場から生まれました。この話し合いの場には、自死遺族、市民、専門家、行政などの参加があり、互いに学び合うことが尊重されました。
CSPSSは、このような話し合いを大切にしながら、自殺対策に関する調査研究およびその成果の活用等の推進により、自殺対策の発展を図ることを目的としています。
亡き人たちの声を聞き、遺された人たちの悲しみと苦しみの中から、自殺予防と自死遺族支援の調査研究が積み重ねられ、提言が行われ、実のある研修が実施され、将来、日本において「追い詰められた死」としての自死がゼロになることを目標にしています。
自殺予防と自死遺族支援が、広く市民社会に根付くよう、活動していきます。
この分科会の第1部では、CSPSSの理事、監事、事務局担当者から、令和の時代の自殺予防・自死遺族支援の展望や、自殺予防と自死遺族支援について大切にしたいと思っていることを述べます。第2部では、分科会の参加者とともに、自殺予防と自死遺族支援について大切にしたいことを話し合います。どうぞご参加ください。

第1部(13時30分~15時00分)

「自殺予防と自死遺族支援:私の大切にしたいこと」
田中幸子(CSPSS理事長/全国自死遺族連絡会代表)
大塚尚(CSPSS理事/東京大学相談支援研究開発センター助教)
小川有閑(CSPSS理事/蓮宝寺住職)
甲斐田沙織(CSPSS監事/弁護士)
勝又陽太郎(CSPSS理事/東京都立大学人文社会学部准教授)
川野健治(CSPSS理事/立命館大学総合心理学部教授)
竹島正(CSPSS理事/川崎市精神保健福祉センター所長)
堀井茂男(CSPSS理事/慈圭病院理事長・名誉院長)
三木和平(CSPSS理事/三木メンタルクリニック院長)
中村征人(愛知県一宮保健所)
木下浩(CSPSS監事/司法書士)
司会:竹島正、川野健治

第2部(15時10分~16時40分)
「円卓的話し合い:自殺予防と自死遺族支援-私の大切にしたいこと」
司会:勝又陽太郎、大塚尚
9月11日13時30分~15時00分
第1回分科会「第2分科会」会場10階
行政からの報告
テーマ
「行政における自殺対策のこれから~地域精神保健活動との連動を糸口に~」
本カンファレンスは、ポストベンションを中心にしておりますが、ポストベンションを重視した取組みのみではなく、プリベンション、インターベンションも含めた様々な取組みが地域で行われることが大切です。行政として、うつ自殺対策に係る法施行後、事業化された様々な取組みを地域で実践してきました。本分科会では、話題提供者から各機関での取り組みを紹介していただきます。
また、今回の新型コロナウィルス流行により、悲嘆や喪失などメンタルヘルスに係る体験をすることは、より身近に起こりえることとなっています。これからの行政の役割は何か。地域から何を求められているのか。自殺対策を含めた精神保健福祉活動のあり方はどのように変化していくのか。など、フロアの皆様とともに考えていく場となればと考えています。
登壇者
コーディネーター・座長岡田隆志(福井県立大学看護福祉学部准教授)
コーディネーター・進行中村征人(愛知県一宮保健所)
話題提供者
(1)埼玉県立精神保健福祉センター 加藤 洋子 氏
相談・自殺対策担当主幹臨床心理士
「埼玉県立精神保健福祉センターの取組みについて」
(2)豊中市保健所(大阪府)中島麻衣子氏

精神保健福祉士
「豊中市の取組みについて」

9月11日13時30分~15時00分

第1回分科会「第3分科会」会場10階
自死・自殺に向き合う僧侶の会

2007年に宗派の違いを超えて集まった僧侶によって結成された「自死・自殺に向き合う僧侶の会」(旧・自殺対策に取り組む僧侶の会)は、現在、約40名の会員からなり、「安心して悩むことのできる社会」を目指して活動しています。また、「自死に向きあう関西僧侶の会」、「いのちに向き合う宗教者の会」(東海地方)、「自死に向きあう広島僧侶の会」、「自死に向きあう九州仏教者の会」など、各地の志を同じくする団体と連携して精進しています。
当会は、①「自死への問い~お坊さんとの往復書簡」(手紙相談)、②自死者追悼法要「いのちの日いのちの時間」、③自死遺族の分かち合い「いのちの集い」を主要な活動とし、その他、ホームページや小冊子の発行によるメッセージの発信、亡き人へのお手紙を受けつける「虹のポスト」など、自死予防・自死遺族サポートの両面で取り組んでいます。
往復書簡では、2008年1月の開始当初より、手紙を通して、相談者が少しでも心穏やかに生きていくことができるようにと返信をしたためてきました。2020年7月1日現在で、1,497人から9,662通の手紙を受けつけています。
追悼法要は毎年12月1日に都内の寺院を会場に営んでいます。誰にも死別の理由を言えずにいる、通常の法要では安心して手を合わせられないといった自死遺族の声を受け、自死遺族だけが集まり、安心して故人を偲べる場として、2007年から追悼法要を営んでいますが、ここ数年は200名を超える参列があり、多くの方々が、こうした場を必要としていることを感じます。
2009年に開始した分かち合いは、築地本願寺を会場として、毎月第4木曜日に開催をしています。2018年10月から2019年9月までの参加者は毎月平均38.5人、その内初参加は8.5人となっていますが、こちらも年々増加傾向にあり、年間自死者数が減少しているとはいえ、累積では自死される方も、自死遺族も増えていることに変わりはないという現実を痛感します。
今回の分科会では、当会の活動だけでなく、仏教界での自死遺族支援の取組を広く知っていただく機会にできればと考えています。

9月11日15時10分~16時40分

第2回分科会「第2分科会」会場10階
認定NPO法人 国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止センター

国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センターは、1978年に自殺防止をめざして開設されたボランティア団体です。その活動の主体である電話相談の中で、自死遺族からの「同じ辛さを語りあい、亡き人の事を語りあえる場がほしい」との声を聴き、2000年に「土曜日のつどい」を発足しました。そして2008年、「自死遺族全国キャラバンin大阪」で、大阪府内でももっと多く遺族の会が必要だとの意見があり、それを受けて「水曜日のつどい」も開始しました。
大阪自殺防止センターのわかちあいの会は、「土曜日のつどい」も「水曜日のつどい」も、電話相談員のボランティアが担当しています。背景に自殺防止の電話相談があるスタッフがわかちあいの会にも携わっていて、わかちあいの会だけの専任ではありません。国際ビフレンダーズ憲章には、相手の自己決定の尊重の項があり、たとえその決定が自分の命を取り去ることであっても否定してはならないのです。その意味で、私たち電話相談ボランティアであるビフレンダーが、自死で遺族になった方のわかちあいの会を開催するのは、当然の使命でもあるのです。
また、大阪自殺防止センターのわかちあいの会では、特に対象者を限定していません。亡くなった方との関係が親子、兄弟、配偶者などの家族だけでなく、友人、知人、恋人であってもご参加いただいています。私たちの開催するわかちあいの会には、背景に電話相談があります。電話相談での、自死による死別の悲しみ、苦しみは、家族だけのものではありません。友人、知人、恋人からも相談の電話があります。そのため対象を限定していないのです。
このように、大阪自殺防止センターのわかちあいの会は電話相談と整合性があります。わかちあいの会がポストベンションであるなら、電話相談はインターベンションにあたります。そして今年、2020年、自死の危機の前段階へのアプローチとして、”心に傘を“プロジェクトを立ち上げました。大阪自殺防止センターの活動を広く社会に知っていただくこととともに、「自分にも相手にも、心に傘を差し掛けあう社会にしましょう」というメッセージを発信しています。このプロジェクトの活動が自死の予防の一助となり、プリベンションとなることを期待しています。

9月11日15時10分~16時40分

第2回分科会「第3分科会」会場10階
いのちの電話

いのちの電話は、孤独の中にあって時には精神的危機に直面し自殺をはじめ助けと励ましを求めている方に、その人自身の自由において新たに生きる勇気を持つことを願って、隣人としてお話を伺っています。
1971年に東京で始められ、現在は北海道から沖縄まで50センターが、地域性・独自性を保ち活動しています。連盟は、全国のセンターを支え、連携・協働を促した事業を行っています。
いのちの電話では、おもに24時間365日(原則・目標値)の電話による相談を、所定の研修を受け認定された無償の相談ボランティア約6,000人が受けていますが、電話相談以外にもメール相談、自死遺族支援など、利用しやすい方法で対話ができるようにと進めています。
自死遺族支援;電話で大切な方を亡くされた方のお話も伺っていましたが、自殺予防のポストベンションとして、孤立しがちなサバイバーの方たちが出会える場を用意したいと、2006年から、仙台、千葉、奈良、佐賀、栃木のセンターが動きました。
会の運営(案内・準備・進行)や自殺・自死遺族への理解を深める公開講演会の開催などを、訓練を受け認定されたいのちの電話自死遺族支援スタッフが行います。
会では、同席するスタッフが自死遺族であるかどうかを気にされる方も少なくないようです。が、いのちの電話ではスタッフが自死遺族かどうかは問いません。
体験をしたことがない人には分からない―という強い思い、また、自殺のスティグマは大き
な問題で、ご遺族は周囲の反応に傷つき、不信を募らせておられるかとも思います。
相談者と同じ経験はしていないけれど、何とか分かりたい、受けとめたいと耳を傾けているのがいのちの電話。また、行政の仕事でも、専門家でもない、訓練を受けてはいるけれど、一市民が隣人として、同じ場、同じ時間を過ごすのがいのちの電話。それが、ご遺族が、地域社会への信を呼び戻し繋がっていく一歩になれば、ささやかな支援になることもあるのではないかと思うのです。

9月12日午前10時00分~12時00分

第3回分科会「第1分科会」会場9階
自死遺族等の権利保護研究会

1部報告
報告者
山田創一専修大学大学院教授
斎藤幸光司法書士
大熊政一弁護士
細川潔弁護士
和泉貴士弁護士
2部ディスカッション
コーディネーター
佐々木央共同通信編集委員
テーマ「自死遺族の法律問題=喪われたいのちに学びながら」
自死遺族等の権利保護研究会(以下、研究会)は、自死遺族が直面する法律問題について、法律専門家としての立場で研究し、援助することを目的として、2008年から活動を開始しました。研究会の参加者は弁護士、司法書士、法律学者、精神科医のほか、自死遺族などの当事者も含んでいます。
研究会が最初に取り組んだのは、賃貸マンションの一室で自死した大学生の遺族が、マンション所有者から訴えられた損害賠償請求事件でした。研究会のメンバーは、被告となった自死遺族が直面する苦しみを目の当たりにしながら、裁判上の争点に関するグループ討議と、法廷活動を並行して進めました。その結果、控訴審では、地裁判決を大幅に下回る条件での和解をすることができました。
裁判で第1に主張したのは、自死を「嫌悪すべき歴史」として、病死などの自然死と異なった評価をすることに対する反論でした。自死を嫌悪すべきもの、穢れたものとする通俗的な感覚(「偏見」)が、いかに死者の尊厳を汚し、遺族を苦しめているか、そのような偏見を裁判所が判決理由として追認することがいかに不当であるかを、自死遺族との交流を通じて研究会は認識していたからです。
(残念ながら、私たちの上記の主張は、当該訴訟においても、また、それ以外の訴訟においても、裁判所の未だ受け入れるところとなっていません。この点については、今後も粘り強く主張を続ける必要があります。)
研究会には、アパートなどでの自死を理由として遺族が請求を受ける事案や、いじめやパワハラなどを原因とする自死について、遺族が学校や地方自治体、企業に対し損害賠償請求する事案、自死に関連してプライバシーを侵害された事案など、自死遺族が直面する様々な法的問題が寄せられます。
研究会は、そうした問題について担当する弁護士や司法書士を決め、どのような解決方法があるかを検討し、具体的な問題解決に向けた援助を行います。裁判外での和解が成立する場合もあれば、訴訟など裁判所における手続きを通じた解決になる場合もあります。
私たちは、自死遺族が直面している法律問題の解決を図る過程で、自死遺族の置かれた状況や葛藤を知るばかりでなく、故人が抱えていた問題や、死に至るまでの生活歴などについても知ることになります。故人や遺族の苦悩について知ることは、一人の人間として、他者の苦悩に共感することでもあります。そして、そうした知識、共感は、わたしたちが専門家として遺族が抱える法的な問題を解決してゆく上で、とても大切なことなのではないでしょうか。
研究会が担当する分科会では、「喪われたいのちから学ぶ」という本カンファレンスのテーマと、「喪われたいのちを悼み、なぜ死ななければならなかったのかを亡き人の声なき声から学び、自死遺族支援や自死の予防を考えていけるようにしたい」という姿勢を、自死遺族が直面する法律問題の解決という研究会の活動にどのように生かすか、以下、4件の具体例をもとに考えてみたいと思います。
(1) 賃貸住宅での自死
(1) 高校生のいじめ自死
(1) 過労自死
(1) 自死者・遺族の尊厳とプラバシー

9月12日午前10時00分~12時00分
第3回分科会「第2分科会」会場10階
「ナインの会」クリスチャン自死遺族の自助グループ
クリスチャン自死遺族が集まり、分かち合いと礼拝をしています
2014年に開始。東京、大阪、愛知でそれぞれ一年に一回教会に集います。
どこにでも参加自由。洗礼の有無にかかわらず、主旨に賛同する人は誰でも。
会費無料。礼拝で自由献金。
自死遺族でない支援者も礼拝は参加可能。次回は、10月24日(土)午前11時より
午後3時まで。弁当持参。大阪市天王寺の日本バプテスト大阪教会にて。
問い合わせは、090-8519-8122(前島)まで。
nain@nain-christian.com
https://nain-christian.com

9月12日午前10時00分~12時00分

第3回分科会「第3分科会」会場10階
「あんじゅ」自死で子供を喪った親の自助・他助グループ

あの子を喪った時に…あの知らせが届いた瞬間に、全てのものが音を立てて粉々に崩れ落ちて時が止まった…受け入れ難い現実に直面して凍てついてしまった心は、泣くこともできず、呼吸をすることさえ苦しくて、このまま誰にも知られずに消え去りたかった…かけがえのない存在を喪った親の深い悲しみと憤り。死ぬこともできず、自責と後悔と悲嘆の日々…漆黒の闇の夜を悶え苦しみながら過ごし朝を迎える…私の苦しみなどに気づく筈のない世の中は、昨日と変わらない平和な日常を繰り返していた。全てが妬ましくて、もがけばもがく程惨めになった…!
ところが、次男の自死によって私の人生が全否定されたのではなかったことや『あの子と過ごした時間が終わった瞬間』に、あの子の居ない新たな時を刻み始めていたのだと気づいたのです。切ない程の悲しみは更に深く私の内に永遠にあります…それでも精一杯、生きています。だからこそ、もうこれ以上、私と同じような悲しみを繰り返して欲しくない、全ての命に「死なないで…生きて!とにかく生きて欲しい」と願うのです。それには同じ経験をした者同士が、安心して語りあえる場が必要です。「あんじゅ」では「人と人」が「心と心」が触れあえるような、あたたかい時間を共有し、少しでも笑顔や幸せの輪が拡がることを目指しています。私達は「ありがとう」を言うだけでなく、誰かに必要とされたり「ありがとう」と言われることが大切なのです。
2007年に神奈川県社会福祉協議会セルフヘルプ活動の一環として、自死で家族を亡くした本人の会「虹のかけはし」を立ち上げ、2010年に自死でわが子を喪った親の自助・他助グループ「あんじゅ」を設立しました。毎月の定例会では15人前後の参加があり、参加者の希望で勉強会や講演会を開催、神奈川県社会福祉協議会との協働事業や自死対策に関する勉強会・フォーラム等にも参加して参りました。少しでも多くの方に知っていただきたいという思いから、非当事者もスタッフにいます。安心して語りあえる場を作りたいという思いと、上記の活動を重ねていく中で「あなたが生きているだけで価値があり、他の誰かを助けている」という思いを込めて、敢えて自助・他助グループとしました。
最後になりましたが、新型コロナウイルス感染症により、今まで当たり前とされてきた「日常」が世界中で崩壊してしまい、様々な喪失感に襲われています。亡くなられた方や罹患された方とご家族、そして対策に関わる方々のことを思い胸が痛みます。
自死遺族となった私達が、それでも尚、生きているという現実に、生きてこられた勇気と知恵があることを忘れないで、再び傷つかないでいただきたいと願ってやみません…
あんじゅ代表南山みどり

第13回 全国自死遺族フォーラム
13時30分~15時30分 会場9階
第1部
講演 岡知 史上 智大学
講師プロフィール
【上智大学総合人間科学部社会福祉学科岡知史教授】1958年兵庫県姫路市生まれ。大阪市立大学院(社会福祉学専攻)を経て、英国カーディフ大学で「難病児親の会」の研究で博士号を取得。約40年間自助グループの研究を続けている。1994年にボークマン博士に出会って以来、いろいろな形で研究上の指導を受け、ボークマン博士との共著論文として2011年(平成23年)に『ソーシャルワーク研究』37巻3号で発表した。他に「セルフヘルプグループとセルフヘルプ・サポーターそしてソーシャルワーク自死遺族『本人の会』の事例を用いた理論的考察」がある。また、2013年(平成25年)に英国の出版社INTER-DISCPLINARYPRESが出版した「苦しみの理解」という本の中に「グリーフ・イズ・ラブ(悲しみは愛)自死遺族の自助グループからグリーフを理解する」という英語論文がある。当フォーラムでは、2009年(平成21年)より毎回登壇をして頂き、今年で12年連続の講演となる。
「講演の内容」
自死遺族の自助グループの活動とは
全国自死遺族連絡会の田中幸子さんに初めてお目にかかったのは、2008年9月のことだったと思います。そのときは、グリーフケアや悲嘆回復についての理論が間違っていることを証明してほしいという依頼を受けました。しかし、それは私の専門外のことなので、お断りしました。その代わり、自死遺族のみなさんの考え方や思いを遺族ではない立場から、言葉にすることができないかと考えました。なぜなら、そうすることによって遺族と遺族ではない人々の間に少しでも理解が広がるのではと思ったからです。
そしてたどりついた結論の一つが、悲しみは病気ではないこと。悲しさは、亡くなったかたへの愛しさそのものであること。そのとき古語においては(すなわち古代日本においては)「愛し」「悲し」は、どちらも「かなし」であり、愛しさと悲しさは分けることができない一つの言葉であった事実を紹介しました。物的には豊かになっても、情緒的には鈍感になってしまったのかもしれない現代の私たちには、千年前の私たちの祖先から学ぶべきことがあるはずです。
悲しみを病気として見ることで、遺族の悲しみは個人の精神的不調とされてしまいます。その結果、学校や職場でのいじめや過重労働の強制などの不正、適切に行われない精神科医療の問題、遺族への不当な差別や損害賠償の請求など、さまざまな社会的な問題が見えなくなってしまいます。また病気とみなされることにより、亡き人を想い、悲しみとともに生きることを尊いとする価値観も否定されてしまいます。
そこまで考えると、遺族は悲しみだけでなく、怒りも持っているはずです。悲しみだけではないわけです。自死遺族の自助グループの活動とは、自死遺族とはどういう人をいうのか、何を感じ、何を考え、何を求め、どういうことを成し遂げようとしているのか、それを社会に発信する活動でもあります。自死遺族ではない人から、自死遺族とはこういうものだ、このような援助や支援が必要なのだと決めつけられることを拒絶し、遺族自身のこれまで抑えられてきた声を社会の隅々まで届けようとする活動です。この会議は、その遺族の社会的活動の一環としてとても重要だと信じています。
【一般社団法人全国自死遺族連絡会】
全国自死遺族連絡会は自死遺族の相互交流を深めることにより遺族自身がまず元気に生きていくことを目的とする会である。そして自死した大切な人のその命を無駄にすることなく優しい人が優しいままで生きられる世の中に変っていくことを目指している。このフォーラムは、2008年から毎年開催し、今年で13回目の開催になる。

会場への地図です


9月11日・12日 日本・ポストベンション・カンファレンスの開催にあたり
新型コロナ感染防止のためのご協力のお願い

会場となる専修大学からの要請もあり、10階196人教室は91人、9階の75人教室は30人(2教室)限定とさせていただきますので、ご協力よろしくお願いいたします。
定員になり次第締め切らせていただきます。

電話・メール・FAXでの申し込みを受け付けています。
電話/FAX:022-717-5066
携帯:090-5835-0017
メール:全国自死遺族連絡会 ホームページに掲載
他、ブログやfacebookからも受付可能

当日、検温をさせていただきます。またマスクの着用もお願いいたします。

コメント

  1. 中原のり子 より:

    田中さん

    ご無沙汰しています。
    大変お世話になります。
    私の仲間の副田淳子さんと中原のり子、2名参加可能でしょうか?
    何とぞ宜しくお願いいたします。