自死遺族等の権利保護研究会について

自死遺族等の権利保護研究会とは

 全国自死遺族連絡会は2010年6月より、自死や自死遺族等への差別に起因するさまざまな被害を防ぐことを目的に「自死、及び自死遺族等への差別撤廃の法制化運動」に取り組んでいます。法制化を実現するには、法律専門家の方々に法的視点からお力添えをいただくことが不可欠であり、私たちの思いに賛同くださる先生方を会員とする任意団体として、「自死遺族等の権利保護」研究会を設立いたしました。

自死遺族等の権利保護研究会の目的

 自死遺族等の権利保護を図る立法化への提言や自死への差別による被害に苦しんでいる自死遺族等への支援につなげるため、自死遺族等の置かれている現状と問題点について法的視点からの整理・検討を行う。
 *当研究会は、会員相互の自由な議論の場として設置されており、研究会としての意見等の統一を図るものではありません。

「自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族の二次被害者保護法」構想との出会い

 私たちは 2009 年 12 月 11 日、平山正実先生(精神科医、NPO 法人「グリーフケア・サポートプラザ」理事長=当時)が、自殺対策基本法第 9 条(法制上の措置など)に着目して呼びかけられた「自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族の二次被害者保護法」(仮称)と、出会いました。それは、私たちには考え及ぶことのできなかった画期的な提案でした。
 平山正実先生は、日本における自死遺族のグリーフケア研究・実践の第一人者です。その平山先生が専門外の法律問題に踏み込んだ提案をされたことは、極めて意義深いものです。これまで、自死遺族を取り巻く諸問題の改善・解消を、新しい法の制定によって図ろうという視点は全くなかったからです。
 平山先生は、二次被害防止の法制化を目指すにあたっては、自死遺族が先頭に立って運動を展開するべきだと考えられました。そして、自らが理事長を務めておられる「グリーフケア・サポートプラザ」ではなく、当連絡会に託され、私たちが事務局を担うことになりました。

日本を「生きやすい社会」に変えたい

 「自殺は追い込まれた末の死」(自殺総合対策大綱:2007 年)と国が宣言したにもかかわらず、依然として日本社会の基盤は自死を「勝手に死んだ」「心が弱いから」とする偏見に覆われていると言っても過言ではないでしょう。単なる宣言で偏見を払拭することはできません。また、「年間自死者数 3 万人」という言葉がマスコミ等で喧伝されていますが、自死遺族が様々な二次被害に苦しめられている実情は、ほとんど知られていません。まず私たちは法制化運動を通じて、「自死遺族の二次被害」の実態を広く社会に訴えていきたいと考えています。また、運動を通じて、法制化を待たずとも改善・解消できる問題については、関連する諸団体や専門家等と幅広く連携して前進していきたいと考えています。
 法律は専門外の平山先生が提案された「二次被害保護法(仮称)」は、法理論からみて様々な問題をはらんでいると、私たちは認識しています。また、法制化が簡単には実現しないことも承知しております。私たちは粘り強く運動を展開するとともに、弁護士や法律研究者など諸先生方にもご協力をお願いする次第です。
 自死遺族の二次被害は、「究極の人権侵害」とも言えるのではないでしょうか。私たちの法制化運動が、少しでも日本を「生きやすい社会」に変える一助にしたいと考えております。

 *「自死遺族の二次被害の研究会」や「自死遺族の二次被害相談センター」 (現・全国自死遺族相談支援センター)を設立し活動をする中で、二次被害という言葉について様々な意見を頂戴しておりました。研究会で検討した結果、2011 年より「自死、及び自死遺族等への差別撤廃の法制化運動」としました。

自死遺族等の権利保護シンポジウム

これまでの自死遺族等の権利保護シンポジウムの内容を動画でご覧いただけます。

第8回 自死遺族等の権利保護シンポジウム(2019年11月22日開催)

第7回 自死遺族等の権利保護シンポジウム(2018年10月22日開催)


・第6回 自死遺族等の権利保護シンポジウム(2017年10月13日 於:日本プレスセンター9階ホール)
 基調講演 「自死遺族等への法的問題は憲法ではどのような取り扱いになるのか」小林 節氏(憲法学者・慶應義塾大学名誉教授)
 

 弁護士・司法書士によるディスカッション 賃貸物件の問題・スポーツ振興センター災害給付制度・いじめ・過労自死
 

・第5回 自死遺族等の権利保護シンポジウム(2016年5月27日 於:衆議院第一議員会館多目的ホール)
 基調講演 「自死遺族等の差別問題を考える」野田 正彰氏(医師)
 

 弁護士・司法書士によるディスカッション 賃貸物件の問題・スポーツ振興センター災害給付制度・いじめ・過労自死
 

・第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム(2015年5月18日 於:衆議院第一議員会館多目的ホール)
 基調講演 「人の死をいたぶる社会」野田 正彰氏(医師)
 

 弁護士・司法書士によるディスカッション 賃貸物件の問題・スポーツ振興センター災害給付制度・いじめ・過労自死
 
  

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